RESIDENCY PROGRAMS

初期・後期研修について

研修・病院見学に関する
お問い合わせ先

筑波大学医学医療系 内分泌代謝・糖尿病内科

住所 :〒305-8575 茨城県つくば市天王台1-1-1 健康医科学イノベーション棟704

メール :mk99j185md.tsukuba.ac.jp
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電話 :029-853-3053

筑波大学附属病院 総合臨床教育センター

専門医(後期)研修について

開学以来、内分泌代謝・糖尿病内科は出身の大学や医局に関わらず、幅広く人材を受け入れてきました。初期研修修了またはそれ以上の臨床経験があれば、いつでも、誰でも研修の受け入れが可能です。当科の後期研修(専門医研修)は、筑波大学附属病院の内科系コースの内科専門研修プログラムの一翼を担う形で実施されます。

内分泌代謝・糖尿病内科の専門医研修の特徴!

  • 茨城県内最大の医療機関であり、糖尿病や内分泌疾患、電解質異常の症例が豊富
  • 大学病院および茨城県内での関連病院でのそれぞれの特徴を生かした研修
  • それぞれのライフプランに応じた研修に柔軟に対応可能(子育て・育児・研究・留学)
  • 筑波大学附属病院として、研修中の出産・育児に対して女性医師支援システムを整備
  • 地域枠の専攻医に対しても、勤務状況に応じた研修プログラムの設定が可能
  • 希望者は当科研究室への大学院進学も強力にバックアップ

教授回診での一コマ

研修内容

診療グループの一員として、外来診療および入院診療を経験し、教授回診や臨床カンファレンスを通じて、専門医として充分な力量を身につけることのできるよう指導します。また、後期研修の開始時には日本糖尿病学会および日本内分泌学会への入会を強くすすめます。これは専門医資格認定試験の受験要件として、各学会の加入年数が一定期間必要とされるためで、早めの学会入会をおすすめします。

日本糖尿病学会専門医資格の取得要件
日本内分泌学会専門医の資格取得要件

医師免許取得後3年目からが「後期研修」となりますが、糖尿病・代謝内分泌内科の専門医研修は内科専門医研修と並行するかたちで、医師免許取得後3~4年目より開始となり、概ね7~8年目に各サブスペシャリティ学会の専門医を取得する流れになります。また、希望や興味があれば、大学院に進学し、臨床研究や基礎研究を通じての学位取得も行うことが可能です。研究のために大学院に進学する時期は個々人で自由ですが、この間は基本的に病棟研修を離れ、研究に専念して頂くことになります。

研修到達目標

  • 生活習慣病として社会的に大きな問題となっている糖尿病、脂質異常症、高血圧、そしてそれらの合併症の評価および管理、および、種々の内分泌疾患の診療を中心に、内科医としての基本的な技術を身につける。
  • Problem Oriented System(POS)に従って病歴、身体所見、検査データからプロブレムを挙げ、系統立てて鑑別診断を進め、内科診療の基本を確立する。
  • Evidence Based Medicine(EBM)を実践し、いかにして種々のエビデンスを実際の診療に活かしていくかを学ぶ。
  • 代謝内分泌疾患の診療を通じて生体のホメオスターシス制御機構を学び、各症例において病態を総合的に考え把握する姿勢を身につける。
  • 代謝性疾患のみならず生活習慣病全般にわたるリスク管理を行ない、動脈硬化症の予防の重要性を学ぶ。
  • 多職種や他診療科との連携を通じて、チーム医療をめざした診療の姿勢を学び、もって専門に偏らない総合内科医としての力量の獲得もめざす。
  • 大学病院を軸として研修ならではの多彩な症例の経験や指導をもとに、糖尿病・高血圧といったコモンディジーズや種々の内分泌疾患の専門医として充分な力量を獲得する。

修了時取得可能な内分泌代謝内科関連専門医資格

  • 糖尿病専門医(糖尿病学会)
  • 内分泌代謝科(内科)専門医(内分泌学会)
  • 動脈硬化専門医(動脈硬化学会)
  • 甲状腺専門医(甲状腺学会)

病棟診療

後期(専門医)研修中の若手医師の外来・病棟診療の日常については、ぜひ医局説明会のスライドを御覧ください。

病棟診療

勤務時間内の診療は主治医チーム制をとっているので、「研修医(受け持ち医)」「専攻医(副主治医)」「主治医(スタッフ)」の3名1組で個々の入院患者の診療にあっています。時間外や休日の診療については原則、当番制とし、その時間帯を担当するオンコール担当医(1stコール:専攻医、2ndコール:スタッフ)が病棟診療やその時間内の緊急入院、他科からのコンサルテーションに対応しています。また、毎週水曜日の教授回診を通じて、診療科全体で入院患者全員の治療方針について、検討・相談を実施しています。必要に応じて月に数回の頻度で臨床カンファレンスを実施し、より詳細な検討を要する症例については文献的な考察を加えてさらに掘り下げた議論を行うことで、診療科全体で症例の情報を共有しています。臨床カンファレンスで提示した症例でそのまま学会発表をする場合も少なくありません。教授回診以外の平日は、午前8時半から朝回診、午後3時から夕回診を実施しています。主に専攻医と研修医が中心となって入院患者の状況報告を行い、病棟全体の診療状況をお互いに共有するように意識しています。

外来診療

筑波大学附属病院での外来を週1コマ(半日=1コマ)に加え、関連病院での外来を週1〜2コマを担当することが多いです。入院患者様の外来でのフォローアップや外来診療でおもに経験することの多い糖尿病・内分泌疾患の合併妊娠や甲状腺疾患などを経験することができます。

病棟での一コマ

専攻医の先輩医師の声

当科では、それぞれのライフステージやキャリアプランに応じた研修プログラムをサポートしています。特に入局初年度については「専門医である前によきジェネラリストであれ」という科の方針のもと、それぞれの希望に応じた研修先を複数選択することができます。そのため、研修医毎に全く異なった「その人だけの研修プログラム」を経験することができます。

ケース1

山本 由季 先生 2018年入局 (2016年卒業)

2016年 (1年目) 筑波大学附属病院 初期研修医
13か月間 院内研修(3か月 内分泌代謝・糖尿病内科で研修)
11か月間 院外研修(日立総合病院/水戸協同病院)
2018年 (3年目) 筑波大学附属病院 内科専攻医
上半期:救急・集中治療科3か月、血液内科1.5か月、神経内科1.5か月
下半期:内分泌代謝・糖尿病内科での研修を開始
2019年 (4年目) 下半期:水戸協同病院 内分泌代謝・糖尿病内科
2021年 (6年目) 下半期:筑波大学附属病院 内分泌代謝・糖尿病内科 内科専門医 取得

メッセージ

卒後3年目から内分泌代謝・糖尿病内科に所属し、大学病院で2年間、水戸協同病院で2年間ずつ後期専門研修を行い、2022年度からはクリニカルフェローとして大学病院で研修しています。大学病院では初期研修では学び足りなかった分野を研修したとともに、代謝内科診療の基礎を学べました。大学病院となると希少疾患のイメージが強いですが、茨城県では代謝内科の入院施設が少ないこともあり、一般的な病態からより複雑な病態まで幅広く研修することができます。水戸協同病院では、代謝内科外来診療、急性期対応だけでなく、総合診療科を中心とし、各科の垣根が低い環境で内科医としての経験の幅を広げることができました。複数の施設での勤務で多くの方とのつながりを得られたことは、その後の糧となっています。また、当科には指導熱心で相談しやすい先生方が多く、様々な視点、考え方を学ぶことができます。さらに、学会発表、臨床研究、論文執筆の機会にも恵まれています。様々なバックグラウンドを持った仲間がお互い助け合い、切磋琢磨しながら研修しています。

ケース2

大内 奈美 先生 2019年入局 (2016年卒業)

2016年 (1年目) 水戸協同病院 初期研修医
2018年 (3年目) 筑波大学附属病院 病院総合内科に所属
代謝内科2か月、膠原病内科2か月、腎臓内科2か月、救急科6か月
2019年 (4年目) 代謝内科での研修を開始 5月~産休 6月出産 1月に復帰
以降は女性医師支援プログラムを利用(夜間や休日オンコール、当直免除)
2020年(5年目) 筑波大学附属病院代謝内科での研修を継続中

メッセージ

他大学を卒業し、出身地である茨城県に戻って研修を開始しました。後期研修を始めるまで筑波大学附属病院にあまり縁がなかったこともあり、最初は専攻する領域は決めずに後期研修を開始しました。出産後は仕事に割くことのできる時間は減少しましたが、女性医師支援プログラムを利用し、家族の協力を得ながら入院診療も外来診療も経験を積んでいます。

ケース3

山崎 大地 先生 2019年入局 (2017年卒業)

2017年(1年目) 茨城県立中央病院 初期研修医
2018年(2年目) 筑波大学附属病院 初期研修医
2019年(3年目) 上半期:筑波大学附属病院 内科専攻医 代謝内科2ヶ月、膠原病内科2ヶ月、腎臓内科2ヶ月
下半期:筑波メディカルセンター病院 内科専攻医 循環器内科2ヶ月、呼吸器内科2ヶ月、救急科2ヶ月
2020年(4年目) 茨城県立中央病院代謝内科 後期研修
2021年(5年目) 筑波大学附属病院代謝内科 後期研修
2022年(6年目) 筑波大学 医学学位プログラム(博士課程)進学

メッセージ

私は実質2年間の代謝内科専門研修を積んだ後、以前より研究に携わってみたかったこと、育児のためにより柔軟に時間が使えるようにしたかったことなどをきっかけに大学院への進学を決めました。比較的早くに大学院進学となりましたが、市中病院1年間、大学病院1年間の専門研修で、内分泌代謝内科で経験しうる病気の管理の多くを経験できたので、症例経験の点でこのタイミングでの進学に不安はありませんでした。また、私はこれまで基礎研究に携わったことは一度もありませんでしたが、当科から大学院に進む医師の多くが同じような状況から基礎研究で大学院を卒業しているため、比較的経験のなさに対する不安も少なかったように思えます。それぞれの希望やライフステージなどに合わせて柔軟に進路を選択できることが当科の魅力の一つだと思います!

医局説明会について

2022年度 医局説明会について

次年度以降の当科での専攻医研修に興味をもってくれている医師を対象に毎年数回開催しています。開催日時は、本ホームページで告知します。当科のスタッフや専攻医、大学院生から直接話を聞くことのできる貴重な機会です!オンライン開催ですので、遠方からも参加可能です。たくさんの方のご参加をお待ちしております。

初期研修について

筑波大学附属病院での初期臨床研修を検討している医学生の方は、総合臨床教育センターのページをご確認ください。

筑波大学附属病院 総合臨床教育センター

初期臨床研修中に当科での研修を希望する方は、是非一度見学へいらしてください!

見学の申込|筑波大学附属病院 総合臨床教育センター

※新型コロナウイルス感染症対策のため、見学に制限を設けている場合があります。詳細についてはリンク先の「見学の申込」のページをよくご確認ください。

病棟医師室での一コマ

教授メッセージ

常に病態メカニズムを考え「なぜ?どうして?」と自分で考えるクセを身につけてもらいたいと思います。その習慣が、環境や内面をかえていく事に繋がります。ガイドラインに頼らない。上の言ったことを鵜呑みにしない。こういった日々の営みが一人一人の小さな進歩、発見に繋がり、いつか大きな実を結ぶことになるかもしれません。合言葉は「ドグマを崩せ!」です。

臨床医養成機関としては、糖尿病専門医、内分泌専門医、動脈硬化専門医を一定の割合で排出できる大学教育機関として県内と都心部の教育施設ネットワークの構築が必要と考えています。教育人材育成、拡充が急務です。

当科で大切にしている学びは以下のようなものです。

  • 内科診療全般 1つ1つのプロブレムを丁寧にアセスメントすること
  • 内分泌疾患診療 わずかな症状も見逃さず、診断することが患者の運命を決めること
  • 代謝疾患診療 病態・メカニズムを考えること。
  • 心に寄り添った医療 患者の生活や心にまで思いを馳せること(チーム医療の真骨頂!)
  • 未来に向けた医療 今だけでなく将来のコントロールを考え、合併症の予防や健康寿命を見据えること

医療は膨大な経験知に基づく営みです。サイエンスとしての「医学」は、それらの経験知の蓄積の上にあるとも言えます。統計学的に「サイエンスとしての医学」の地位を高めたのがEBM(Evidence based medicine)ですが、「なぜそうなのか?」という問いにEBMは全てを答えてはくれません。しかしその問いこそが医学の醍醐味です。一見膨大にみえる医学の経験知は、実はほとんどがプロセスの蓄積であって、本質的な問いに対する答えほどまだブラックボックスの中にあることが多いです。ただ内分泌代謝学はそのブラックボックスを紐解くことができる可能性が高い学問領域だと感じています。つまり突き詰めて考えれば答えが出せ得るのです。だから「一緒に考えましょう」と勧めるわけです。今後、医療の「知」の部分はより一層ICT(情報技術)やAI(人工知能)に任せていくことになると考えられますが、我々の強みは「智慧」です。そしてそれこそが医学に携わる上で楽しいところです。そういった意味で、我々のグループでは臨床医としてのキャリアアップの一環で、大学院への進学についてもグループ全体でサポートしています。