ごあいさつ 4

当科の研究展開


本学に着任してからの10年間で、発生工学動物,分子生物学的手法を駆使して脂質代謝の転写制御機構解明の研究を手がけ、エネルギー代謝のホメオスタシスにおける転写因子ネットワークパラダイムを提唱してきました(当科ラボの紹介サイトをご参照下さい)。特に脂質合成転写因子の生理的意義や生活習慣病の病態への関与を、動物モデルで実証しそのメカニズムを細胞レベルで解明してきました。現在は、逆の発想から飢餓やストレス下に働く新規のエネルギー転写因子を発見し、特にその生理機能や病態への関連を展開し、糖尿病、生活習慣病の新規治療法開発に向けた臨床応用をめざしています。


これらの研究過程で我々が発見した新しい脂肪酸伸長酵素のノックアウトマウスの研究から、脂肪酸の組成がインスリン抵抗性や生活習慣病病態に影響することを提唱しています。従来のセントラルドグマでは肥満が生活習慣病病態の主因でありその解消が治療に必須であるとされていました。しかし肥満の解消は生活習慣の継続が難しい現状の中、“脂質の質”という新しい視点の治療コンセプトをもたらす新機軸として注目されています。この酵素阻害剤の開発や脂肪酸の種類、組成に基づいた食事療法など新しい概念に関する特許申請、創薬にむけたプロジェクトを展開したいと考えています。

   
さらに脂質の質を視点とした研究課題は、ひろく脳活動、炎症、増殖とも関連する事がわかり、他領域、他科疾患との共同研究が期待されます。ことし設立予定のイノヴェーションセンターの一角として、臨床、基礎医学系をはじめとして医学系にとどまらず学内における数理、生物、スポーツ医学との連携、共同研究を展開しています。


私自身の方向性として、あまり専門にこだわらず好奇心のままに一つの事を深く深く掘り下げていって新しい真実を見いだす悦びと多面的に攻めていたら思わぬ繋がりをみてびっくりというセレンディップ的展開の両方味わいながら研究を楽しんでいます。


是非いろいろなバックグランドの皆さんと筑波大学らしい独自のユニークで、やっている本人がわくわくする研究をおし進めていきましょう。